東ティモールのコーヒーを世界に!―コーヒー輸出産業の発展に向けてー

2024.05.02

東ティモールは、面積約14,900平方キロメートル、人口約132万人の小さな島国です。農業は主要産業であり、国内総生産(GDP)の8.6%、人口の26.9%を占めています。東ティモールの主な輸出品は原油ですが、原油を除いた輸出額の約8割をコーヒーが占めており、農業に従事する世帯の約20%がコーヒー産業に関わっています。
東ティモールのコーヒー生産者の大多数は小規模農家です。コーヒー農家のうち、62% が 1ヘクタール未満の土地でコーヒーを生産し、95% が 5ヘクタール未満の土地でコーヒーを生産しています。また、栽培されるコーヒーの50%以上は生産性の低い古木であると推定されており、単位面積当たりの平均収量は他国に比べて非常に低いのが現状です。世界のコーヒー輸出に占める東ティモールのシェアは0.2%にも満たず、ある程度の競争力を持つオーガニックやフェアトレードであっても、その世界市場は限られています。
このような課題に対し、東ティモール政府は、コーヒー産業の発展のために改植や剪定による生産性の向上、栽培面積の拡大、格付け制度や設備の導入による品質の向上を支援しています。 さらに、アジア開発銀行等の支援を得て、投資拡大と関係機関の協力強化によりコーヒーセクターを持続可能かつ収益性の高いものにすることを目的とした「National Coffee Sector Development Plan Timor-Leste 2019-2030」を策定し、この計画のもと、生計向上、食糧安全保障、経済発展に貢献するために、公的機関、民間、NGO、援助機関が連携をしています。
このような状況の中で、東ティモールの政府関係者、民間企業、NGO、生産者団体に対し、コーヒーの輸出拡大に必要な知識と改善案を提供し、同産業の拡大に貢献することを目的として、JICAは国別研修「コーヒー輸出のためのマーケティング」を2024年2月19日から3月1日の期間で実施しました。

東ティモールのコーヒー紹介

日本で得た知見を東ティモールのコーヒー輸出産業の発展に役立てる

参加した研修員は約2週間の研修プログラムの中で、関西圏のコーヒー輸入に関わる民間企業の方々による講義、視察、演習を通じてコーヒーの輸出競争力を強化するために必要なノウハウ(高付加価値品の市場ニーズ、貿易規制や手続き、品質・生産管理、マーケティング、認証制度など)を習得し、帰国後の具体的な行動に向けたアクションプランを作成しました。
アクションプランでは多くの研修員がコーヒーの「品質向上」「生産性向上」を目標として挙げ、自分たちが抱える課題とそれを解決するための手段と計画を策定することができました。
帰国後に東ティモールで研修員が日本で得たノウハウを活用し、アクションプランが実践されることを期待しています。
(研修員からの研修の感想、帰国後の抱負については以下の関連リンクをご覧ください)

東ティモールのコーヒーを日本の消費者に紹介するイベント(於:ヒロコーヒー猪名川店様)

コーヒーカッピング演習(協力:石光商事株式会社様)

カッピング演習によってコーヒーの特徴や評価方法を学ぶ

閉講式

関連リンク
コーヒー輸出マーケティングトレーニングを終えて | 海外での取り組み - JICA

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